生体骨と人工骨

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医療従事者定義
医療従事者 医師 医師の総称
医療担当者 医療担当者 医師、薬剤師、看護師、診療放射線技師、
臨床検査技師、臨床工学技士、歯科技工士その他の医療担当者の総称
医療業務関係者 医療機関等の役員、従業員、その他当該医療機関等において医療機器の選択
又は購入に関与する者
医療担当者等 医療担当者、医療業務関係者の総称

出所:医療機器業公正取引協議会

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開発者の声

患者様の早期の回復と社会復帰をご支援したい-。そんな熱い志を形にする株式会社クラレ バイオマテリアル部の人工骨へのこだわりを、開発者の声とともにご紹介いたします。


生体組織の侵入性とハンドリングに耐えうる強度の両立が目標でした。

開発担当者 桑山 知也

人工骨内部への生体組織の侵入しやすさと、通常の使用に耐えうるような取り扱い性を兼ね備えた人工骨の開発-。この相反する現象のバランスをできるだけ高い次元で実現させることが最大の課題でした。そのために、結晶学的な概念など化学の基礎的なところまで立ち返っての検討も重ねました。

その間、幾度となく壁に突き当たることがありましたが、それを乗り越えて無事製品化までこぎつけることができたのは、社内外の多くの方々にご協力いただいたことはもちろんですが、今振り返ってみると、いくつかの重要な発明、発見は偶然のように思えることもあります。手前味噌ではありますが、いつその偶然が起こってもいいように常に受け入れ準備をしていたことがよかったのではないかと感じています。夢の中でのお告げを検討したこともあるくらいですから。

生体組織が侵入しやすいよう気孔に構造的な特長を持たせた「リジェノス」は、製品自体が方向性を有していることから、少しクセのある人工骨であると思います。そのクセをご理解の上、ご使用いただくことで人工骨移植における治療の選択肢が少しでも広がり、患者様の利益へとつながることになれば幸いです。


強度の確保に苦慮、動物実験で気孔の貫通性を確認した時は胸がいっぱいに。

開発担当者 堀田 裕司

セラミックス分野については知識・経験とも全くなかった私にとって「リジェノス」の開発はまさにゼロからのスタートでした。開発に際して最も力を注ぎ、そして苦労したのが、生体組織の侵入性を損なうことなく、強度を確保するという点。開発当初は強度が目標の10分の1程度しかなく、開発途中の「リジェノス」を初めて臨床の先生に見ていただいた際に、ボールペンの後ろで叩いて強度を確認された時には、「なんとか持ちこたえてくれ」と祈るような気持ちになったものでした。

初めての動物実験で「リジェノス」をウサギの血に接触させた際、貫通した気孔部が毛細管現象で血液を吸い上げ、製品が赤く染まった時は良好な結果が得られたことに大きな喜びを感じると同時に、弊社の無理なお願いにも快く応じてくださるなど、開発の推進に多大なご協力をいただいた共同研究先の先生方への感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。

配向連通孔構造の「リジェノス」は、異方性を持った生体組織である骨にフィットする、これまでにない特徴を持つ人工骨です。そのため連通孔を足場に生体骨と同様の配向構造を持つ新生骨の形成が期待されます。私たちが患者様と直接お会いする機会はほとんどありませんが、人工骨の開発を通じて患者様のQOLの向上に微力ながらも貢献していきたいと日々願っております。


臨床現場のご要望を吸い上げて製品開発に反映。

開発担当者(当時) 足立 秀昭

「リジェノス」の開発過程で私が担当したのは、臨床の現場の先生方に製品の特徴や使用方法などをお伝えする一方で、先生方のご要望や使用に際して想定される問題点やご意見をうかがい、開発部門にフィードバックするという情報交換の部分でした。

その際、配向連通孔構造という既存の人工骨にはない「リジェノス」ならではの特長をアピールし、先生方に知っていただくよう努めることが私の使命だったのですが、先生方は親身になって聞いてくださっているのに、伝えたいと思うことが伝わっていないなあ、と自分の力不足を痛感することが少なからずありました。自分なりに試行錯誤を重ねて徐々に改善を図ったつもりではいますが、これからも臨床現場のご意見・ご要望を的確に開発部門に伝え、質の高い製品の開発へとつなげていく、臨床現場のニーズを開発部門に伝え、製品へ反映すべく果たしていけるよう、努力を続けていきたいと考えております。

「リジェノス」は、骨欠損部の骨軸方向と連通孔の方向が一致するようにして埋入することで、連通孔に沿った新生骨の配向が期待されます。先生方には、臨床での使用に際して、こうした配向連通孔の特長を生かした配置をご検討いただけましたら幸いです。


より自然な形で治癒に至れる期待を持った人工骨ができました。

開発担当者 松尾 隆史

私が入社した2007年に研究開発がスタートし、「アフィノス」を上市した2015年まで担当として進めてまいりました。そのため「アフィノス」は私にとってのこれまでの会社生活のすべてといっても過言ではありません。

我々は骨に限らず、ヒトが健康に過ごせる時間をより長くすることを切に願っており、事故や病気等で失われてしまった体の機能の再建をサポートし得る製品が提供できればと考えています。

今回製品化した「アフィノス」は配向連通気孔構造を有した吸収置換型の人工骨であるゆえに、再生された骨も、本来の骨と同様に骨軸に対して平行に配向した骨であることが確認できており、より自然な形で治癒に至れる期待を持った人工骨であると考えています。

「アフィノス」は2009年に上市したハイドロキシアパタイト製人工骨「リジェノス」のβリン酸三カルシウム版ではありますが、単に原材料を変更しただけではない、数多くの技術障壁がありました。最も苦労したのは、吸収置換型人工骨であるゆえに、材料吸収と骨新生速度をバランスさせる必要があり、気孔率や気孔サイズ、材料の結晶性を相互に制御する等して、ようやく要求仕様に到達できました。おかげさまで出荷検査は多岐に渡り、生産部門は大変ですが、その分品質には自信があります。

最後に「アフィノス」は生体との高い親和性(= affinity)を有した骨(= os)をイメージして名付けました。この「アフィノス」が自然な形で治癒に至れる期待を持った人工骨として患者様、お医者様、医療関係者様にとっても最も身近な製品なれればと思っています。

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